ペットにCBDを与える飼い主について

核家族が増えた現代で、まさに家族の一員として愛されているのが犬や猫です。

このコロナ禍のステイホームを機に飼い始めたという方も多いのではないでしょうか。

一般社団法人 ペットフード協会が行った調査によれば2020年の犬猫の新規飼育者の飼育頭数が例年に比べ10~15%程度増加したとの結果を発表しました。

まさに、このコロナ禍、多くの方が、家で過ごすための楽しみや癒しを求めた結果だと感じます。

しかし、犬や猫も飼い主の言動や、日常生活でストレスを感じることがあるのです。

飼い主としては、何とかしてあげたいと思いますよね。

CBDにはリラックス効果を初めとする様々な利点がありますが、人間同様、犬や猫に与えても問題ないのでしょうか。

動物にCBDを使用した研究結果が少ない

CBD(カンナビジオール)は、大麻草の茎や種子から抽出される成分です。

大麻由来ではありますが、精神活性作用のあるTHCを含まず、摂取してもハイになることはありません。

WHOの報告書でもCBDについて『乱用あるいは依存可能性を示唆する作用を示さない』と、その安全性を認めています。

人間が使用する分には、精神活性作用や中毒もなく安全に使用できます。

しかし、現段階では犬猫に対するCBD摂取についての研究結果が少なく、その安全性について保証するエビデンスは存在しません。

反対に『ペットに与えることは危険だ』という研究結果もありませんが、安全性が担保できない以上、ペットにCBDを与えることはためらってしまいますね。

CBDは犬や猫にも効果があるの?

人間の体には、体内の恒常性を保つエンドカンナビノイドシステム(ECS)というものが存在します。

このECSは、身体と心のバランスを保つ役割を果たします。

例えば、体内で異常が起こった際、正常な状態に戻すために、ECSがカンナビノイドに対して、「細胞の炎症を抑えるように指示を出しなさい」と命令します。

カンナビノイドは該当の場所につくと、受容体に「ECSから、炎症を抑えろと指示があった」と伝えます。

これにより受容体の働きが活発になり、局所的な抗炎症作用を生み出したり、痛みや不安を緩和することが出来るのです。

しかし、身体のカンナビノイド量が不足すると、この活動ができなくなり、不眠症、関節炎、てんかん、うつ病、自閉症スペクトラムなど様々な症状を引き起こす原因となってしまいます。

CBDを摂取することで、不足したECSを補い、ECSが常に稼働できる状態に保つことが出来るというわけです。

そしてこのECSは、人だけではなく哺乳類や脊椎動物にも存在することがわかっています。

つまり犬や猫にも同様に作用すると考えられているのです。

CBD以外の物質が害になることも

CBD以外の物質がペットに悪影響を与えることもあります。

フルスペクトラムのCBDは、CBDだけではなく、ペットにも人間にも害となるTHCやその他大麻成分を含んでいる可能性があるため注意が必要です。

ペットにCBDを与える場合は、必ずTHCフリー、CBDアイソレートのものを選ぶようにしましょう。

また、動物は私たち人間と比べて体が小さく、体内器官の働きも小さなものです。

人間と同じCBD摂取量では多すぎる(効きすぎる)可能性が高いため、摂取量には注意が必要です。

動物への摂取には賛否両論

飼い犬や猫へCBDを与えることについて「人間で大丈夫なら動物でも大丈夫」と楽観視する方がいる一方、動物への虐待だという意見もあります。

前述したとおりCBDの使用について人間への安全性は報告されていますが、犬や猫の摂取に関しては、研究結果がありません。

しかし、その事実さえ知らない飼い主がいることも現実です。

当人の使用については問題ありませんが、ペットへの使用は慎重に判断するべきでしょう。

自己責任という意見もありますが、それはあくまで自分自身の体に対してではないかと考えます。

ペットとはいえ、所有物ではなく一つの命です。

動物は自分の気持ちを言葉にできない為、嫌でも断ることが出来ません。

犬や猫に対する、安全性が確保されてない以上、ペットへのCBD摂取は、獣医に相談した上で慎重に判断することが必要でしょう。

ペット用CBD製品も存在する

ここまで、ペットへのCBD摂取については慎重に判断するべきとお伝えしてきましたが、

実はCBDを配合したペットフードは既に販売されています。

今、海外ではCBDの爆発的なブームが起こっており、CBDが急速に広がっています。

それに伴い、欧米ではCBDを配合したペットフードが飛ぶように売れているのだそうです。

ブライトフィールドグループが行った調査によると、2018年のCBDペット製品の売上は2017年の800万ドル(約8億7,000万円)から4倍の3,200万ドル(約35億円)に増加。

2022年までに、米国だけで、11億6,000万ドル(約1,270億円)に達すると予想されています。

また、ペットフードや水に加えて摂取させられるように、ペット用のCBDオイルやカプセルも販売されるなど、今現在も米国をはじめとした全世界でペット用CBD製品の市場は拡大し続けています。

しかし、この爆発的なブームの裏を返すと、「詳しく知らないけど周囲の人がペットにCBDを与えているから大丈夫」と、曖昧な情報のまま購入している方も少なくないということです。

ペット用CBD製品を販売している企業は、”ペットに対する安全性は保障されていません”などと忠告してくれるはずもありません。

ペットの安全がなにより優先ですので、CBDを与える場合でも、摂取量をしっかりと守り、まずは少量から様子を見るようにしてください。

今後の研究に期待

とはいえ、仮に犬や猫にCBDを与えても問題ないのであれば、とてもメリットが多いのです。

例えばCBDは小児の難治性てんかん薬として日本で承認されるなど、抗てんかん作用があることがわかっています。

犬に使用できるとなれば、犬のてんかんの治療薬として多くの犬を救うことが出来ます。

さらに、CBDには鎮痛や抗炎症作用もあります。

これまでの鎮痛薬には、免疫機能、消化管、肝臓、膵臓等に副作用がでることもありましたが、CBDであれば、それらのリスクが少ない状態で犬や猫が抱える関節炎や疼痛等の問題を解消することが出来るでしょう。

CBDが人間にとって良い効果をもたらしてくれることは間違いないのです。

あとは、ペットに摂取しても問題ないという裏付けさえとれれば、なんの問題もないのですが…。

CBDをペットに応用する研究は今も進められているため、そう遠くない未来、ペットにCBDを与えることも当たり前の時代がやってくるのかも知れません。

今後の研究に期待しましょう。

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