CBDでアントラージュ効果が期待できるのか?CBDオイルやCBDキットでは

「大麻にはもともと多数の薬効成分が含まれており、複数の構成要素が持つ相互作用によって相乗効果が生まれる」

かつてそう推奨したのは、バーモンド大学で植物病理学や家庭医学を研究するジョン・マックパートランド博士でした。

彼によって、大麻のアントラージュ効果はまずアメリカで有名となり、日本でも知られるようになりました。

ジョン・マックパートランド博士が言う大麻の薬効成分とは、THC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(カンナビジオール)などのカンナビノイドのほかに、植物に香りや色、味を与える天然の精油テルペンも含まれます

 

テルペンという成分名をはじめて聞いた人も多いのではないでしょうか。

大麻の中にあるテルペンについて解説すると、鎮静の効果があるといわれるミルセンや、記憶や注意力に関係するといわれるピネンなどが有名でしょう。

またテルペンは、多くの植物に含まれる成分であり、大麻以外ではミントやハーブなどの香り成分が有名です。

 

大麻の効果についての研究によると、このようなカンナビノイドとテルペンがECS(エンドカンナビノイドシステム)の二つの受容体CB1とCB2に複雑に絡み合い、がんの疼痛や悪心嘔吐などにアントラージュ効果を発揮していると考えられています。

CBD製品でもアントラージュ効果が期待できる

ところで、日本で販売されているCBDオイル、CBDリキッド、CBDグミなどのCBS製品では、カンナビノイドのようなアントラージュ効果が期待できるのでしょうか。

理論上、日本のCBD製品はTHCの含有量が少ない産業用ヘンプからCBDだけを抽出した製品が多いので、アントラージュ効果はあまり期待できないと考えます。

 

しかし厳密には、産業用ヘンプの葉、花穂、枝、根以外の成熟した茎と種子からオイルなどを使ってCBDを抽出するので、微量のTHCなどを含んだカンナビノイドやテルペンが含有する可能性は否定できません。

つまり日本で販売されているCBD製品のなかには、アントラージュ効果が期待できる製品も含まれていることになります。

 

これとは別に、アメリカの精神科医イーサン・ルッソ博士は「CBDによる抗不安効果を期待するためには高用量のCBDが必要」だと推奨しています

またCBDにはTHCのような副作用がないので、CBDを高用量で使っても安全性が高いとイーサン・ルッソ博士は言っています。

つまり日本で販売されているCBD製品を限界まで使用しても、副作用が少ないと考えてもよいのではないでしょうか。

通常、医療で期待される相加作用と相乗作用

このような大麻のアントラージュ効果のことを、一般的には相乗効果と呼んでいます。相乗効果は、医薬品の薬理効果で頻繁に使われている薬力学用語です。

 

薬力学の相乗効果とは、A医薬品とB医薬品を併用することで、それぞれの効果の和よりもはるかに大きな効果のことです。たとえば、リドカイン塩酸塩とアドレナリンを併用することで局所麻酔の増強が期待できること、エーテルとクロルプロパミド塩酸塩を併用することで中枢神経抑制作用が増強されることなどです。

 

つまり大麻のアントラージュ効果のような作用は医療の現場でも使われているもので、日本もアメリカのように医療大麻が使われるようになれば、CBD製品の効果の幅も拡がると考えます。

CBDの高用量で注意する点

ただし、アントラージュ効果を期待して高用量のCBDを使用するとき、医薬品との併用に注意しなくてはいけません。

 

なぜならCBDには医薬品が肝臓で代謝するのを邪魔する作用があるからです。CBDと組合せの悪い医薬品は、高血圧薬や抗生物質などがあります。

CBDを正しく使用するためには、いま服用している医薬品と合うのか専門家のアドバイスを受けましょう。

参考資料

・「CBDのすべて」アイリーン・コニェツニー、ローレン・ウィルソン著

・「カンナビノイドの科学」佐藤均監修、日本カンナビノイド学会

・ ジョン・マックパートランド インタビュー

https://www.fundacion-canna.es/en/meet-experts-interview-john-mcpartland

・ イーサン・ルッソ博士 インタビュー

https://www.projectcbd.org/ja/cbd-entourage-effect-microbiome

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